当社が入居している建物 “WAREHOUSE 161”
今回は、この建物の話です。
1970年に建築された、ヴィンテージな建物です。
4階建で1階、2階が倉庫。
3、4階が住居。
1、2階の倉庫はバナナの保管庫(ムロと呼ばれています)でした。
台湾や東南アジアからバナナを輸入し、ムロで熟成させ市場に出す。
輸送に時間がかかった時代は、ムロのような中間保管場所が必要だったのでしょう。
このムロを使ってバナナを販売していたのは、横浜の老舗青果会社「水浅青果」さん
以前、この建物の敷地内に銅像が建っていました。
ご近所の皆さんには、銅像のある建物で有名だったそうです。
銅像の主は “佐野浅夫” さん
水浅青果の元代表者であり、国民的時代劇「水戸黄門」の3代目黄門様です。
佐野浅夫さんは、横浜のこの地で青果店を営む家に生まれ、俳優になられたそうです。
ちなみに2代目助さんであり、5代目黄門様の里見浩太朗さんは従甥です。
現在、銅像は佐野家の墓地内に移されました。
輸送時間の短縮やさまざまな理由で熟成することなく、バナナが市場にならぶことになり、ムロの役目が終わりました。
そして、役目が終わったムロを含む建物の解体、新築工事の相談が2012年にありました。
現地を確認した時には、割れたガラス窓に蜘蛛の巣だらけの室内。
解体を待つだけの建物でした。
ところが、一般的には廃墟にしか見えないような建物でしたが、ヴィンテージ好きの私から見ると、魅力的なんですね(笑)
特に、ムロが。
ムロは1階5室、2階4室の個室に分かれ、重厚感のある扉やブリキおもちゃに通じる電気設備などのレトロ感がたまりませんでした。
電源スイッチなど、ウルトラセブンの基地感が漂ってましたから(笑)
そんな経緯があって、1階のムロを飲食店、2階を当社の事務所、3階4階の元住居部分をシェアハウスにリノベーションする大規模修繕工事を行い “WAREHOUSE 161” に生まれ変えました。
電源スイッチは、照明などのスイッチで使用できるように流用しました。
もちろん、ムロの扉はそのまま。
扉のヒンジの厚みは感動ものです。
2階の当社事務所は、お客様に拘りのコーヒーでおもてなせるよう、カウンターを造りました。
足の大谷石は、張り物ではありません。
2階までスタッフ全員が命懸けで運びました。
各ムロには社員旅行などで各国を訪問した際に購入した雑貨物が置かれています。
“雑多にセンスよく配置する” を目指しているのですが、難しいですね。
松田優作さんの探偵物語に影響を受けた世代には、怪しさが共存するこんな空間に共感してもらえると思います。
以前、1階のハンバーガーショップ “BARGERS NEW YORK”に来た中国人のお客さんに、建物を見ながら「育った地元が懐かしいわー」と言われた時は、軽いフックをくらったくらいの衝撃がありました。
「中国ではなく、クリスチャン・ラクロアだから」
そして、「工藤ちゃんの事務所だから」
感じ方はいろいろ。
日々、修行です。