横浜の老舗ホテル ホテルニューグランド
本館は、1927年開業ですからあと4年で100周年を迎えます。
1991年にお隣に新館のタワー棟が開業しました。
当ブログで取り上げるのは、もちろん本館です。
外国人専用ホテルのグランドホテルが関東大震災で倒壊し、その跡地に復興のシンボルとして建てられたから“ニュー”
フェニックスホテル名の案もあったそうですが、「フェニックスと名のつくお店は皆長く続かない」
という迷信があるから“ニューグランド”に決まったと聞いたことがあります。
設計者は、上野の国立博物館や銀座和光などを設計した渡辺 仁
ニューグランドのホームページを見ると、
1932年にチャーリー・チャップリンが宿泊
37年にダクラス・マッカーサーが新婚旅行で宿泊
45年から7年間 米国陸軍宿舎、将校倶楽部として接収
他にもベーブ・ルースが宿泊したり、歴史上の有名人が多く宿泊しました。
ニューヨーク風ひさしのある本館エントランスから入ると、まず目につくのが2階への階段。
本当に絵になります。
結婚披露宴の写真はもとより、SNS映えスポットです。
2階に上がるとフェニックスルームとレインボールーム。
2つのバンケットルームがあります。
フェニックスルームは元メインダイニングでレインボールームは元舞踏室でした。
室内の雰囲気も異なります。
階段からホールを含めて、全体的にはアール・デコ調の雰囲気が感じられます。
そして、明るさを求めない、最小限の照明。
陰翳好きとしてはたまらない空間です。
フェニックスルームは、存在感のあるマホガニーの柱とお寺の本堂に吊られた天蓋にインスパイアされたかのような照明に圧倒されます。
優れた材質と手がかけられた製作が一目でわかります。
壁の上部の御簾がかけられているスペースで、昔、雅楽が演奏されていたそうです。
いったいどんな人たちが雅楽を聴きながら食事をしていたのでしょうか。
レインボールームは、全体の雰囲気はヨーロッパにある貴賓室のようですが、細部の意匠は和テイスト。
明治時代の洋館のように上手に調和されています。
日本人が見たら西洋風。
外国人から見たら和を感じるはずです。
元舞踏室ですから、フェニックスルームとは異なり室内に柱はありません。
ここが当時のハイクラスの人々の社交場だったと思うだけで胸アツになります。
米軍による接収時には、映画も上映されていたそうです。
実のところ、約30年前に私はフェニックスルームで結婚披露宴をしました。
どちらの部屋も見たのですが、私の好みはフェニックスルーム。
柱が多く、収容数も少ないのですが、迷うことなく決めました。
雅楽の話は、その時にスタッフさんから聞きました。
そういう話が大好きですから(笑)
現在、1階にある中庭は、30年前には閉鎖されていました。
中庭に整備される前は、パームルームと言う名の椰子の木があるスペイン風の建物があったそうです。
想像するに、バンコクのマンダリンオリエンタルホテルのオーサーズラウンジのような建物だったのでしょうか。
もし、現存していれば、そこで気分良くアフタヌーンティーができたはずです。
今から約20年前、1階のイル・ジャルディーノでランチをとった後、お店の通路を出たところ、再整備された中庭を室内から天皇陛下と皇后雅子様がお二人でご覧になっていました。
SPに囲まれていましたが、その距離は5mほど。
“驚いた私にお二人から会釈された” 格別の出来事がありました。